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野球は西武ファン
男は、一人で絵を描いていた。
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男は、とある地方の貧乏な家庭で生まれた。
貧しいけれども幸せな家庭。
ある時、母親と共に街を歩いていると、絵を描いている一人の人間が目に付く。
近寄り、覗き込むと――
そこには、彼が見たこともないような世界が広がっていた。
どこまでも広がる地平、まばゆくばかりの青空、そして、真ん中にそびえ立つ巨大な樹。
そこには、「世界」が存在した。
彼はその絵に魅せられ、夢中で絵描きに質問をした。
彼は――
絵に恋をした。
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ある時、彼の母親は、彼に紙とペンを買い与えた。
彼は、感動に打ち震えた。
彼は、二つの道具を使い、「世界」を創造していくことにした。
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彼の生きた時代は――
「理屈」では無く、「感情」の時代であった。
彼の――
今まで存在した絵描き達が作り上げてきたものを、
一瞬で壊してしまうような、その絵は―
誰にも受け入れてもらうことが出来なかった。
しかし、彼は絵を描き続けた。
やがて、母親が病床に伏し、一人になっても―
彼は絵を描き続けた。
気付いたら、彼の周りには誰もいなかった。
彼にとっての世界とは、「絵」だった。
「絵」が世界の全てであり、絵の中で「世界」を創造した。
彼は、自分を曲げなかった。
彼は、死ぬ時までペンを握っていた。
母親から買い与えてもらったペン。
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やがて、彼の功績は認められ、彼の死の瞬間を描いた絵が、世界的な芸術として認められるようになった。
タイトルは――
「絵架き」
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