彼は悪い人?否、僕は良い人だと思う。
_/_/_/_/_/
彼は非難される。
「一般常識が無い」
「頭おかしーんじゃねぇの」
「空気読めよ」
彼は空気を読めない。
周りのことを考える力が無い。
一般的に、やって良いこととやってはいけないことを――知らない。
それは、法律的な善と悪では無く―
これをやったら、仲間外れにされる―
そういうことを、彼は知らない。
_/_/_/_/_/
自分が、いつどこでどのように生まれるか―
これは、誰にも決めることが出来ない。
神様がそう定めるだけである。
彼は、生まれた時から普通のコミュニケーションを禁じられ、
自分の意志を封じらてきた。
彼の周りには―
彼を認めてくれる人がいなかった。
彼には―
自分の欠点を見付ける術が無かった。
彼は、彼なりに必死でやってきた。
けれど、どうすることも出来なかった。
自分自身を変えることは出来なかった。
彼は、人から非難される。
認めてもらえない。
認めてもらう方法が分からない。
認めてもらう方法が分からないから―
いつまで経っても認めてもらうことが出来ない。
彼の心は、ビー玉のように透き通っている。
彼の魂は、何にも描かれていないキャンパスのように真っ白だ。
しかし彼は、“良い人”になる術を知らない。
教えてもらったことが無い。
ゆえに、“悪い人”になってしまう――
彼は悪い人?否、僕は良い人だと思う。
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男は、一人で絵を描いていた。
_/_/_/_/_/
男は、とある地方の貧乏な家庭で生まれた。
貧しいけれども幸せな家庭。
ある時、母親と共に街を歩いていると、絵を描いている一人の人間が目に付く。
近寄り、覗き込むと――
そこには、彼が見たこともないような世界が広がっていた。
どこまでも広がる地平、まばゆくばかりの青空、そして、真ん中にそびえ立つ巨大な樹。
そこには、「世界」が存在した。
彼はその絵に魅せられ、夢中で絵描きに質問をした。
彼は――
絵に恋をした。
_/_/_/_/_/
ある時、彼の母親は、彼に紙とペンを買い与えた。
彼は、感動に打ち震えた。
彼は、二つの道具を使い、「世界」を創造していくことにした。
_/_/_/_/_/
彼の生きた時代は――
「理屈」では無く、「感情」の時代であった。
彼の――
今まで存在した絵描き達が作り上げてきたものを、
一瞬で壊してしまうような、その絵は―
誰にも受け入れてもらうことが出来なかった。
しかし、彼は絵を描き続けた。
やがて、母親が病床に伏し、一人になっても―
彼は絵を描き続けた。
気付いたら、彼の周りには誰もいなかった。
彼にとっての世界とは、「絵」だった。
「絵」が世界の全てであり、絵の中で「世界」を創造した。
彼は、自分を曲げなかった。
彼は、死ぬ時までペンを握っていた。
母親から買い与えてもらったペン。
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やがて、彼の功績は認められ、彼の死の瞬間を描いた絵が、世界的な芸術として認められるようになった。
タイトルは――
「絵架き」
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